心を労するような時代遅れの生活に甘んじまい。欧米の老婦人たちが若い婦人と協力して諸種の社会事業や婦人問題に努力するように、日本の老婦人も何かの有用な事業に活動しようとするかも知れない。活動は人を若返らせる回春薬の最上の物である。そうなれば境遇から得た孤独の悲哀や、僻みや、老婦人の生理的変化から得た病的心理なども大に減少され緩和されるであろう。
しかしこれは私の空想かも知れない。政界に元老という物があって、精神も体質も変兆を来《きた》していながら、老人の親切から政府当局者の施設に干渉してかえって国民を迷惑がらせている。そして元老の頭というものは到底国民の自由思想と一致する見込のないものである。家庭における現在の姑と若夫婦との思想も元老と国民とのそれのように全く相容《あいい》れないものかも知れない。
現在の姑たちについて私の考は右のように希望と悲観と半《なかば》しているが、しかし未来の姑については全く新しい紀元の開かれることを期待している。今日の教育ある若い妻はその程度に差があっても、概して幾分ずつか皆新しい妻である。私は出来るだけ自治独立の生活を送ろうとしていると共に、他の自治独
前へ
次へ
全16ページ中13ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
与謝野 晶子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング