響を及ぼしているかは「代議士は芸妓《げいしゃ》を買うものです」と答えた小学生のあるのに由っても想像せられる。私たちは子女のために高く清い教育を施そうとする直接の実際問題から考えても、素行の不潔な男子に一国の政治を託することは危険であると思う。
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私は高い処から物をいわないつもりである。私は何時《いつ》でも我身の分を知って低級な心境から発言しているつもりである。楽堂の片隅に身を狭《せば》めながら自分相応の小さな楽器を執って有名無名の多数の楽手が人生を奏《かな》でる大管絃楽の複音律《シンフォニイ》に微《かす》かな一音を添えようとするのが私の志《こころざし》である。
けれどそれは私の意識している私自身の志であって、私の個性から無意識に放射している私の自我には、他から見て柄にない自負や虚栄心が醜く現われているかも知れない。私は常にそれを恐れて反省せねばならぬと思い、また出来るだけ反省に力《つと》めている。
私は私の自我を堅実にしたい、新しくしたい、増大したいという希望と、その希望を次第に遂行しつつあるという自信と歓喜とを持っているが、私の現在の内生については何ほどの自
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