そう》の憂世家たちも、今は白眼にして冷嘲を事とするようなことなく、正面から真剣に時代の改革者として起《た》たないではいられないであろう。
私はこんな事を想像して議会の解散にいいようもない痛快を感じたのであった。そして私はこの度の解散をあらゆる手段と努力とを集めて意義あるものにせねばならぬと思った。
*
今は総選挙の日が迫っている。私の注意は頻《しき》りにその方へ向く。選挙権を有する男子たちはこれを機会に果してどの程度まで民本主義の精神を発揮し、日本人の政治をかの官僚派と既成政党との少数者から取戻して、真に全日本人の生活意志を代表するに足る優良な新人才の手に託そうとするであろうか。
私は政府党と政府反対党と中立党とに論なく、すべて党人と称する人々の大多数は、廉恥も識見もない野人でなければ私欲と猾智《こうち》とに富んだ政商の徒であると思っている。全日本人の生活の一表現である政治を党人と称する彼ら少数の階級の利福の具に供して暴横邪曲を恥とせぬ国民の寄生虫であると思っている。候補者としてこの際立った党人はあらゆる苦肉の計を用いて選挙人の良心と理性とを攪乱《かくらん》し誘
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