オていた。しかもそのまん中には、髪をまん中から分けた若い男が、口を開《あ》いて、涎《よだれ》を垂らして、両手を翼《つばさ》のように動かしながら、怪しげな踊を踊っていた。新田は俊助をひっぱって、遠慮なくその連中の間へはいって行ったが、やがて膝を抱いて坐っていた、一人の老人をつかまえると、
「どうだね。何か変った事はないかい。」と、もっともらしく問いかけた。
「ございますよ。何でも今月の末までには、また磐梯山《ばんだいさん》が破裂するそうで、――昨晩《さくばん》もその御相談に、神々が上野《うえの》へ御集りになったようでございました。」
 老人は目脂《めやに》だらけの眼を見張って、囁くようにこう云った。が、新田はその答には頓着《とんちゃく》する気色《けしき》もなく、俊助の方を振返って、
「どうだ。」と、嘲るような声を出した。
 俊助は微笑を洩したばかりで、何ともその「どうだ」には答えなかった。と、新田はまた一人、これはニッケルの眼鏡をかけた、癇《かん》の強そうな男の前へ行って、
「いよいよ講和条約の調印もすんだようだね。君もこれからは暇になるだろう。」
 が、その男は陰鬱な眼を挙げて、じろり
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