路上
芥川龍之介

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)午砲《どん》を打つと同時に

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)三十分|経《た》つか経たない内に

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「勹<夕」、第3水準1−14−76]

〔〕:アクセント分解された欧文をかこむ
(例)まあ 〔Une Vie a` la Tolstoi:〕 と云う所なんだろう。
アクセント分解についての詳細は下記URLを参照してください
http://aozora.gr.jp/accent_separation.html
−−

        一

 午砲《どん》を打つと同時に、ほとんど人影の見えなくなった大学の図書館《としょかん》は、三十分|経《た》つか経たない内に、もうどこの机を見ても、荒方《あらかた》は閲覧人で埋《う》まってしまった。
 机に向っているのは大抵《たいてい》大学生で、中には年輩の袴《はかま》羽織や背広も、二三人は交っていたらしい。それが広い空
次へ
全105ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
芥川 竜之介 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング