に凍るような心もちがした。そうして、また大きな声でうなった。平六と同じような理由で、敵には臆病《おくびょう》な彼も、今までに何度、致死期《ちしご》の仲間の者をその鉾《ほこ》の先で、とどめを刺したかわからない。それも多くは、人を殺すという、ただそれだけの興味から、あるいは自分の勇気を人にも自分にも示そうとする、ただそれだけの目的から、進んでこの無残なしわざをあえてした。それが今は――
と、たれか、彼の苦しみも知らないように、灯《ひ》の陰で一人、鼻歌をうたう者がある。
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いたち笛ふき
猿《さる》かなず
いなごまろは拍子うつ
きりぎりす
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ぴしゃりと、蚊をたたく音が、それに次いで聞こえる。中には「ほう、やれ」と拍子をとったものもあった。二三人が、肩をゆすったけはいで、息のつまったような笑い声を立てる。――猪熊《いのくま》の爺《おじ》は、総身《そうみ》をわなわなふるわせながら、まだ生きているという事実を確かめたいために、重い※[#「目+匡」、第3水準1−88−81]《まぶた》を開いて、じっとともし火の光を見た。灯《ともし》は、その炎のまわりに無
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