、しかも理性を超越したある順序で、まざまざと再び、生活した。
「やい、おばば、おばばはどうした。おばば。」
彼は、暗《やみ》から生まれて、暗《やみ》へ消えてゆく恐ろしい幻に脅かされて、身をもだえながら、こううなった。すると、かたわらから額の傷を汗衫《かざみ》の袖《そで》で包んだ、交野《かたの》の平六が顔を出して、
「おばばか。おばばはもう十万億土へ行ってしもうた。おおかた蓮《はちす》の上でな、おぬしの来るのを、待ち焦がれている事じゃろう。」
言いすてて、自分の冗談を、自分でからからと笑いながら、向こうのすみに、真木島《まきのしま》の十郎の腿《もも》のけがの手当をしている、沙金《しゃきん》のほうをふり返って、声をかけた。
「お頭《かしら》、おじじはちとむずかしいようじゃ。苦しめるだけ、殺生《せっしょう》じゃて。わしがとどめを刺してやろうかと思うがな。」
沙金は、あでやかな声で、笑った。
「冗談じゃないよ。どうせ死ぬものなら、自然に死なしておやりな。」
「なるほどな、それもそうじゃ。」
猪熊《いのくま》の爺《おじ》は、この問答を聞くと、ある予期と恐怖とに襲われて、からだじゅうが一時
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