数の輪をかけながら、執拗《しゅうね》い夜に攻められて、心細い光を放っている。と、小さな黄金虫《こがねむし》が一匹ぶうんと音を立てて、飛んで来て、その光の輪にはいったかと思うとたちまち羽根を焼かれて、下へ落ちた。青臭いにおいが、ひとしきり鼻を打つ。
 あの虫のように、自分もほどなく死ななければならない。死ねば、どうせ蛆《うじ》と蝿《はえ》とに、血も肉も食いつくされるからだである。ああこの自分が死ぬ。それを、仲間のものは、歌をうたったり笑ったりしながら、何事もないように騒いでいる。そう思うと、猪熊《いのくま》の爺《おじ》は、名状しがたい怒りと苦痛とに、骨髄をかまれるような心もちがした。そうして、それとともに、なんだか轆轤《ろくろ》のようにとめどなく回っている物が、火花を飛ばしながら目の前へおりて来るような心もちがした。
「畜生。人でなし。太郎。やい。極道《ごくどう》。」
 まわらない舌の先から、おのずからこういうことばが、とぎれとぎれに落ちて来る。――真木島《まきのしま》の十郎は、腿《もも》の傷が痛まないように、そっとねがえりをうちながら、喉《のど》のかわいたような声で、沙金《しゃきん》に
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