を弁護するのは困難である。疑うものは弁護士を見よ。

   女人

 健全なる理性は命令している。――「爾《なんじ》、女人を近づくる勿《なか》れ。」
 しかし健全なる本能は全然反対に命令している。――「爾、女人を避くる勿れ。」

   又

 女人は我我男子には正に人生そのものである。即ち諸悪の根源である。

   理性

 わたしはヴォルテェルを軽蔑《けいべつ》している。若し理性に終始するとすれば、我我は我我の存在に満腔《まんこう》の呪咀《じゅそ》を加えなければならぬ。しかし世界の賞讃《しょうさん》に酔った Candide の作者の幸福さは!

   自然

 我我の自然を愛する所以《ゆえん》は、――少くともその所以の一つは自然は我我人間のように妬《ねた》んだり欺いたりしないからである。

   処世術

 最も賢い処世術は社会的因襲を軽蔑しながら、しかも社会的因襲と矛盾せぬ生活をすることである。

   女人崇拝

「永遠に女性なるもの」を崇拝したゲエテは確かに仕合せものの一人だった。が、Yahoo の牝《めす》を軽蔑したスウィフトは狂死せずにはいなかったのである。これは女性の呪《
前へ 次へ
全83ページ中71ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
芥川 竜之介 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング