て見せる。

   63[#「63」は縦中横]

 船長の手の上に載った髑髏。髑髏の目からは火取虫《ひとりむし》が一つひらひらと空中へ昇って行《ゆ》く。それから又三つ、二つ、五つ。

   64[#「64」は縦中横]

 前の洞穴の内部の空中。空中は前後左右に飛びかう無数の火取虫に充《み》ち満《み》ちている。

   65[#「65」は縦中横]

 それ等の火取虫の一つ。火取虫は空中を飛んでいるうちに一羽の鷲《わし》に変ってしまう。

   66[#「66」は縦中横]

 前の洞穴の内部。「さん・せばすちあん」はやはり船長にすがり、いつか目をつぶっている。のみならず船長の腕を離れると、岩の上に倒れてしまう。しかし又上半身を起し、もう一度船長の顔を見上げる。

   67[#「67」は縦中横]

 岩の上に倒れてしまった「さん・せばすちあん」の下半身《しもはんしん》。彼の手は体を支えながら、偶然岩の上の十字架を捉える。始めは如何《いか》にも怯《お》ず怯《お》ずと、それから又急にしっかりと。

   68[#「68」は縦中横]

 十字架をかざした「さん・せばすちあん」の手。

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