横]
前の洞穴の内部の隅。岩の壁によりかかった死骸は徐ろに若くなりはじめ、とうとう赤児に変ってしまう。しかしこの赤児の顋《あご》にも顋髯だけはちゃんと残っている。
55[#「55」は縦中横]
赤児の死骸の足のうら。どちらの足のうらもまん中に一輪ずつ薔薇《ばら》の花を描いている。けれどもそれ等は見る見るうちに岩の上へ花びらを落してしまう。
56[#「56」は縦中横]
彼等の上半身《かみはんしん》。「さん・せばすちあん」は愈《いよいよ》興奮し、何か又船長に話しかける。船長は何とも返事をしない。が、殆《ほとん》ど厳粛に「さん・せばすちあん」の顔を見つめている。
57[#「57」は縦中横]
半ば帽子のかげになった、目の鋭い船長の顔。船長は徐ろに舌を出して見せる。舌の上にはスフィンクスが一匹。
58[#「58」は縦中横]
前の洞穴《ほらあな》の内部の隅。岩の壁によりかかった赤児の死骸《しがい》は次第に又変りはじめ、とうとうちゃんと肩車をした二匹の猿になってしまう。
59[#「59」は縦中横]
前の洞穴の内部。船長は「さん・せばすちあ
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