たん》はやめにして上げるわ。……
「それでも日本の小説家の無力さ加減だけは攻撃させて頂戴《ちょうだい》。あたしはこう云う結婚難を解決する道を求めながら、一度読んだ本を読み返して見たの。けれどもあたしたちの代弁者《だいべんしゃ》は※[#「言+虚」、第4水準2−88−74]《うそ》のように一人もいないじゃないの? 倉田百三《くらたひゃくぞう》、菊池寛《きくちかん》、久米正雄《くめまさお》、武者小路実篤《むしゃのこうじさねあつ》、里見※[#「弓+椁のつくり」、第3水準1−84−22]《さとみとん》、佐藤春夫《さとうはるお》、吉田絃二郎《よしだげんじろう》、野上弥生《のがみやよい》、――一人残らず盲目《めくら》なのよ。そう云う人たちはまだ好《い》いとしても、芥川龍之介と来た日には大莫迦《おおばか》だわ。あなたは『六《ろく》の宮《みや》の姫君』って短篇を読んではいらっしゃらなくって? (作者曰く、京伝三馬《きょうでんさんば》の伝統に忠実ならんと欲するわたしはこの機会に広告を加えなければならぬ。『六の宮の姫君』は短篇集『春服《しゅんぷく》』に収められている。発行|書肆《しょし》は東京|春陽堂《しゅ
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