々《しらしら》と舞ひ上《あが》るお前たち三羽の翼の色。――皿の外までも飛び出さなければ好《い》いが。

     河馬《かば》

 挙《こ》す。梁《りよう》の武帝《ぶてい》、達磨大師《だるまだいし》に問ふ。如何《いかん》か是《これ》仏法《ぶつぽう》。磨《ま》云ふ。水中の河馬《かば》。

     ぺングイン

 お前は落魄《らくはく》した給仕人だ。悲しさうなお前の眼の中には、以前勤めてゐたホテルの大食堂が、今も Aurora australis のやうに、輝かしい過去の幻を浮き上らせる事がありはしないか?

     馬

 凩《こがらし》の吹く町の角《かど》には、青銅《からかね》のお前に跨《またが》つた、やはり青銅《からかね》の宮殿下が、寒むさうな往来《わうらい》の老若男女《らうにやくなんによ》を、揚々と見|下《おろ》して御出《おい》でになる。さうしてその宮殿下の、軍服を召した御胸《おむね》には、恐れながら白い鴉《からす》の糞《ふん》が、……

     梟《ふくろふ》

 Brocken 山《ざん》へ! 箒《はうき》に跨《またが》つた婆《ばあ》さんが、赤い月のかかつた空へ、煙突から
前へ 次へ
全12ページ中7ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
芥川 竜之介 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング