醜い山鴉の恋を容《い》れてくれた。ありとあらゆる空の鳥は、愚《おろか》な彼を哂うのではなく、反《かえ》って仕合せな彼を羨《うらや》んだり妬《そね》んだりしているのであった。――そう彼は信じていた。少くともそう信ぜずにはいられないような気がしていた。
だから彼はその後《ご》また、あの牛飼の若者に遇《あ》った時も、ただ同じ答を聞きたいばかりに、
「あの勾玉《まがたま》は確かに渡してくれたのだろうな。」と、軽く念を押しただけであった。若者はやはり間の悪るそうな顔をしながら、
「ええ、確かに渡しました。しかし御返事の所は――」とか何とか、曖昧《あいまい》に言葉を濁していた。それでも彼は渡したと云う言葉に満足して、その上立ち入った事情なぞは尋ねようとも思わなかった。
すると三四日経ったある夜の事、彼が山へ寝鳥《ねどり》でも捕えに行こうと思って、月明りを幸《さいわい》、部落の往来を独りぶらぶら歩いていると、誰か笛を吹きすさびながら、薄い靄《もや》の下《お》りた中を、これも悠々と来かかるものがあった。野蛮《やばん》な彼は幼い時から、歌とか音楽とか云うものにはさらに興味を感じなかった。が、藪木《や
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