るのは
よほど永く病んだ女が
遠くの方で窓から首を出してゐる
不幸な夢
「空が海になる
私達の上の方に空がそのまま海になる
日――」
そんな日が来たら
そんな日が来たら笹の舟を沢山つくつて
仰向けに寝ころんで流してみたい
東雲《しののめ》
(これからしののめの大きい瞳がはじけます)
しののめだ
太陽に燈がついた
遠くの方で
機関車の掃除が始まつてゐる
そして 石炭がしつとり湿つてゐるので何か火夫がぶつぶつ言つてゐるのが聞えるやうな気がする
そして
電柱や煙突はまだよくのびきつてはゐないだろ[#「ろ」に「ママ」注記]う
ある昼の話
疲れた心は何を聞くのもいやだ と云ふのです
勿論 どうすればよいのかもわからないのです
で兎に角――
私は三箱も煙草を吸ひました
かすかに水の流れる音のするあたりは
ライン河のほとりなのか――
×
どうしてこんなだらう と友人に手紙を書いて
私は外出した
夜の花をもつ少女と私
眠い――
夜の花の香りに私はすつかり疲れてしまつた
××
これから夢です
もうとうに舞台も出来てゐる
役者もそろつてゐる
あとはベルさえ[
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