詩集<色ガラスの街>
尾形亀之助

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)紅葉《もみじ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)ア[#「ア」に点]
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此の一巻を父と母とに捧ぐ

序の一 りんてん機とアルコポン

× りんてん機は印刷機械です
× ア[#「ア」に丸傍点]ルコポンはナ[#「ナ」に丸傍点]ルコポン(魔酔薬)の間違ひです

私はこの夏頃から詩集を出版したいと思つてゐました そして 十月の始めには出来上るやうにと思つてゐたので 逢う[#「う」に「ママ」の注記]人毎に「秋には詩集を出す」と言つてゐました 十月になつてしまつたと思つてゐるうちに十二月が近くなりました それでも私はまだ 雑誌の形ででもよいと思つてゐるのです

×

そしてそんなことを思つて三年も過ぎてしまつたのです
で 今私はここで小学生の頃 まはれ右[#「まはれ右」に傍点]を間違へたときのことを再び思ひ出します
          一千九百二十五年十一月


序の二 煙草は私の旅びとである

朝早くから雨が降つてゐた
そして 暗い日暮れに風が吹いて流れ 雨にとけこ
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