「むぎわら」に傍点]帽子と
石の上に座[#「座」に「ママ」注記]る乞食

たそがれどきの
赤い火事


あいさつ

夕方になつてきて
太陽が西の方へ入[#「入」に「ママ」注記]いらうとするとき
きまつて太陽が笑ひ顔をする

ねんじ[#「じ」に「ママ」注記]う 俺達の世の中を見て
「さよ[#「よ」に「ママ」注記]うなら」のかはりに苦笑する

そこで 俺も酔つぱらひの一人として
「ね 太陽さん俺も君もおんなじぢあないか――あんたもご苦労に」と言つてやらなければなるまいに


風のない日です

女さえ見れば色欲を起す男は
或る日とうとう女に飛びついた
――が

塔のスレートを二三枚わつただけですみました


女が眠ってゐる

明るい電車の中に
青いうら[#「うら」に傍点]と
赤いうら[#「うら」に傍点]と
白いすね[#「すね」に傍点]を少し出して窓にもたれて眠つてゐる 女

乗客はみな退屈してゐます


昼のコツクさん

白いコツクさん
コロツケが 一つ

床に水をまきすぎた
コツクさん
エプロンかけて
街は雨あがり

床屋の鏡のコツクさん
昼ちよつと前だ
コツクさん




空のまん中で
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