は、ためいきをついて、おじいさんの顔を見つめました。
「これから取りに帰っては、ほかの子どものところへまわれないし、さて、どうしたらいいだろうな。」
「僕がとりにいきましょうか。」と、イヌが言いました。「僕もネコも早い四本足がありますよ。」
「だめだだめだ。わしのうちはとおいとおい空の上なんだから、四本足だろうが六本足だろうが、これから行って、あけがたまでに帰って来ることはとても出来ない。」
「では、私《あたし》がとんでまいりましては?」と、オウムが籠《かご》の中から、羽ばたきをして言いました。
「なるほど。」おじいさんは、にこにこうなずきました。「おまえなら間に合うかもしれないね。」
おじいさんは、さっそく、オウムを籠の中から出しました。そして、みんなと一しょに門口《かどぐち》に出てオウムにおしえました。
「ほら、ごらん、ずうッと向うに、大きな星が三つ光ってるだろう。わしの家《うち》は、その一ばん左の星のすぐうしろにあたるんだよ。」
三
オウムは、さっと飛び立ちました。こんなにして力一ぱい、つばさをのばして飛ぶのは何年ぶりでしょう。オウムは、一気に高くとび上っ
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