の特質なりと言ふほどに具象的ならざるを如何せん。終りに忠孝[#「忠孝」に傍点]といひ、家系の継紹[#「家系の継紹」に傍点]といふ、此の二事は以て日本国民の特質を代表せしめ得べきが如し。中にも忠君の徳[#「忠君の徳」に傍点]の如きは万国に其の倫《たぐひ》を見ざる国民の美質なりと言ふを得べし。(孝徳の発達はむしろ著るしく支那に見ることを得べけれど)さはれ忠孝や、家系の継紹や、是等《これら》は果して日本国民の不易[#「不易」に傍点]の若《も》しくは先天的特質[#「先天的特質」に傍点]なりと言ふを得べきか、少なくとも英国民性を Positivistic といひ実際的[#「実際的」に傍点]といふほどの意味にて之黷??{国民の特質なりと言ひ得べきか。是等は寧ろ半《なかば》は歴史的、進化的結果なりと言ふを得べからざるか。かりに是等の疑ひを排斥する十分の根拠ありとするも、所謂[#「所謂」に傍点]忠孝、所謂[#「所謂」に傍点]任侠、所謂[#「所謂」に傍点]家系の継紹は、半は過去の理想[#「過去の理想」に傍点]もしくは特質にはあらざるか。然らば論者が国民性を描けといふ意を解して、
 過去の国民性もしくは理
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