国民性と文学
綱島梁川

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)就中《なかんづく》

|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)国民性|即《すなは》ち

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)国民性の一部[#「一部」に傍点]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)そも/\
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 今日の文学、就中《なかんづく》小説に対する世間の要求の主なるものを挙《あ》ぐれば、現社会に密接して時事時潮を描けるといふもの其《そ》の一にして、国民性を描写して国民的性情の満足を与へよ[#「国民性を描写して国民的性情の満足を与へよ」に傍点]といふもの其の二なり。前者は姑《しばら》く措《お》く、後者の要求に対しては吾人《ごじん》頗《すこぶ》る惑ふ。則《すなは》ち問うて曰《い》はく、国民性とは何ぞや、国民的性情の満足とは何ぞや、そも/\又|此《こ》の要求に是認せらるべき点ありとせば、そは果して如何程《いかほど》の意味にて是認せらるべきかと。
 漫然国民性を描け[#「国民性を描け」に傍点]といふ、而《しか》も其の意
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