た上文既に論じたる所にも著し)とは果して如何なるものなるかと。論者或は之れに答ふるに左の特質を以てせん曰はく、
日本国民は快活楽天[#「快活楽天」に傍点]の国民なり、
日本国民は尚武任侠[#「尚武任侠」に傍点]の国民なり、
日本国民は最も国家の運命を懸念する[#「国家の運命を懸念する」に傍点]の国民なり、
日本国民は最も道義的情緒に富める[#「道義的情緒に富める」に傍点]国民なり、
日本国民は忠孝義勇[#「忠孝義勇」に傍点]を人道の大本となす国民なり、
日本国民は家系の継紹を重ずる[#「家系の継紹を重ずる」に傍点]国民なり、云々
と。好《よ》し、此に列挙せる特質は果して日本国民の普遍なる特質なりと言ふを得べきか。論者は快活楽天を以て国民の特質となす、されど此《こ》は特《ひと》り日本国民が先天的特質なりと言ふを得べきか、古希臘《いにしへギリシヤ》国民の如きも、また此の質を有し、且つ一層|明《あきらか》に此の特質を有せりしにはあらざるか。此には仮りに之れを問ふの要なしとして、更に疑ふべきは、日本国民は果して真に快活楽天なる国民なるかといふこと是れ也《なり》。一面この特性あるを許
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