腹がへり、身体が参って、おまけに寒くなってくると、仕事ははかどらない。
だから人夫なしで、歩きたいのは理想であるが、今の日本の雪中登山の程度では、やはり必要なのであろう。
スキーとカンジキ。あの辺の山は、谷をまっすぐに登らねばならぬところが出てくるから、スキーのみでは困難である。一昨年は常念の谷をスキーで登って、一時間半かかったが、今年はカンジキにはきかえて一時間で登った。
大部分スキーが楽で速いけれど、この山では時々どうしてもカンジキの方が速いところは、ただちにはきかえるがいい。他の山でもカンジキは携帯せねばならぬと思う。スキーが破損した時、負傷者のある時に必要である。スキーの靴でカンジキをつけると、ぬけ易いが、大して困難もしなかった。私はスキーと共にカンジキを携帯することを絶対に必要とする。
夜営。油紙の厚いのと、シャベルと毛布(カモシカまたはトナカイ)の寝袋があればいいと思われる。何しろ一にも毛皮、二にも毛皮、三にも毛皮である。あとは身体を適応させるほか仕方がない。植物質のものを何枚着たって防寒にはならない。
夏見た小屋は必ずしもあてにならない。場所により小屋により雪
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