の翌日の好天気もまた雪崩れる。
それにこの時は、カンジキがもぐって人夫を連れている時は歩けないことがある。だから、どうしても雪崩前に山へ行かなければ損である。
人夫。われらの背負う荷には限りがある。だから人の全くいない山の中を一週間も歩くには、人夫を頼むほかに仕方がない。ところが人夫はカンジキであるから、スキーとなかなか歩調が一致しない。確かに不便であるが、われらが弱くて荷が背負えないのだから、この不便を忍ばねばならない。人夫は必ず猟師でなければならない。夏山を歩いた男などはかえって迷惑である。
山によっては、カンジキの道とスキーのとるべき道とは一致しないが、信州の山のように谷のほか登れないところならば、どうも仕方がない。人夫を連れていれば夜営は、そんなに早く着かないでも間にあう。木をどんどんきってもらって、われらは寝床の用意と飯の用意をすればいい。だから山男ばかりでない時には、人夫が二人は入用である。仕事にかかる前にパンを一かじりしないと仕事が早く行かない。
いつでも余分のパンをもっていなければいけない。全く雪の中で宿る時には、人夫がいないと、なかなか一晩の焚火がとれない。
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