翁室[#一]隔[#二]水竹[#一]相対、毎[#レ]有[#二]評論[#一]、使[#二]童生※[#「敬/手」、第3水準1−84−92][#レ]巻往復[#一]、以[#レ]筆代[#レ]舌、如[#レ]此周歳と。当時の状見るが如し。然れども彼は終に此所に止る能はざりし也。彼が広島に在るや既に都会に住して名を天下に成さんとするの志あり。而して病雀|籠樊《ろうはん》に在り宿志未だ伸びず其備後に遣《おく》られし所以は以て彼が冲霄《ちゆうせう》の志を抑留し漸く之を馴致せんが為めのみ。而も彼れ奚ぞ終に籠中の物ならんや。彼は福山家老の方に詩会に招かるゝとき菅太中の養子のあしらひにて呼棄てにせらるゝに不平なり、妻を迎へよと勧めらるゝに不平なり、出でゝ事ふべしと勧めらるゝに至りて愈不平なり。即ち書を茶山に与へて曰く使襄禽獣、則可、苟亦人也、則何心処之、亦何面目以見[#二]天下之人[#一]乎と。彼は斯の如くにして去て京師に遊べり。時に文化八年年正に三十一。其書懐の詩に曰く聊取[#二]文章[#一]当[#二]結草[#一]、効[#レ]身未[#三]必在[#二]華替[#一]。其歳暮の詩に曰く一出[#二]郷関[#一]歳再除、慈
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