ヤカんことを。
夫れ文武の政《まつりごと》、布《しい》て方策に在りと雖、之を活用するの政治家なくんば空文となりて過ぎんのみ、憲法はスタイン先生をして感服せしむるも、民法は「コード、ナポレオン」に勝ること万々なるも、国会は開設せらるも、鉄道は網の如くに行渡るとも、之を利用するの政治家、実業家にして、依然たる封建時代の御殿様たり、御用商人たらば憲法も亦た終《つひ》に何の律ぞ、鉄道も亦終に何の具ぞ、昔し蕃山熊沢氏は曰《い》へり堂宇《だうう》伽藍《がらん》の巍々《ぎゝ》たる今日は即ち是れ仏教衰微の時代也と、宣教師は来りて雲突計《くもつくばか》りの「チョルチ」を打建《うちたつ》るも、洋々たる「オルガン」の音、粛々たる説教の声、如何に殊勝に聴ゆるにもせよ、宣教師にリビングストーン氏的の精神を見ること能《あた》はず、説教者にパウルノックスの元気旺せずんば是れ唯|規《き》に因《より》て線を画くのみ、焉《いづくん》ぞ活動飛舞の精神的革命を行ふを得ん、さなきだに御祭主義なる日本人を促して教会を建て、「オルガン」を買ひ、「クワイア」を作ることを惟《これ》務むるが如きは是れ荘子の所謂《いはゆる》以[#レ]水
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