/參」、第4水準2−93−26]《りよくさん》額をつゝみ、能《よ》く外国の人と語り、能く「ピアノ」を弾ず、看来れば宛然たる「レディス」なり、然れども其中に存するものは空の空なるのみ、赤間ヶ関の荒村破屋に嘗《かつ》て野「バラ」の如くに天香を放ちし、烈女|阿正《オマサ》の如き、義侠深愛、貞節の如き美徳は之を貴き今日の娘子軍に求むべからず、蓋《けだ》し吾人《われら》が之を求め得ざりしは其眼界の狭きが為ならん、而《しか》れども方今の人心は其外界の進歩に殆んど反比例して、其撲茂、忠愛、天真の如き品格を消磨して、唯物質的の快楽を遂ぐるに、汲々《きふ/\》たるは、掩《おほ》はんとして掩ひ得べからざるの事実に非ずや、思ふて此に至る吾人は賈生《カセイ》ならざるも、未だ嘗て之が為に長大息せずんばあらず、古来未だ嘗て亡びざるの国あらず、而して其亡ぶるや未だ嘗て其国民が当初の品格を失墜したるに因《よ》らずんばあらず噫《あゝ》今に及んで百尺竿頭、更に一歩を転ぜずんば、吾人は恐る、「古《むか》し我先人が文明を買ひし価《あたひ》は国を亡《うしな》ふ程に高直なりき」と白皙《はくせき》人種に駆使せられながら我子孫のツブ
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