弥助の札が出ないことはないと思っていた。もう一枚さえ出れば、自分が、三人の中に入るのだと思っていた。
が、最後の札は、彼の切《せつ》ない期待を裏切って、嘉助に投ぜられた札だった。
「さあ! みんな聞いてくれ! 浅と喜蔵とが四枚だ。嘉助が二枚だ。九郎助が一枚だ。疑わしいと思う奴は、自分で調べて見るといいや」喜蔵は最後の決定を伝えながら、一座を見廻した。
誰も調べて見ようとはしなかった。誰よりも先に、九郎助はホッと安心した。
忠次は自分の思い通りの人間に、札が落ちたのを見ると満足して、切り株から、立ち上った。
「じゃ、みんな腑《ふ》に落ちたんだな。それじゃ、浅と喜蔵と嘉助とを連れて行こう。九郎助は、一枚入っているから連れて行きたいが、最初《はな》云った言葉を変改《へんがい》することは出来ねえから、勘弁しな。さあ、先刻《さっき》からえろう[#「えろう」に傍点]手間を取った。じゃ、みんな金を分けて銘々に志すところへ行ってくれ」
乾児の者は、忠次が出してあった裡から、銘々に十二両ずつを分けて取った。
「じゃ、俺達は一足先に行くぜ」忠次は選まれた三人を、麾《さしまね》くと、みんなに最後の会
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