入れ札
菊池寛
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)上州《じょうしゅう》
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)関東|縞《じま》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)叱※[#「口+它」、第3水準1−14−88]《しった》
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上州《じょうしゅう》岩鼻《いわはな》の代官を斬《き》り殺した国定忠次《くにさだちゅうじ》一家の者は、赤城山《あかぎやま》へ立て籠《こも》って、八州の捕方《とりかた》を避けていたが、其処《そこ》も防ぎきれなくなると、忠次を初《はじめ》、十四五人の乾児《こぶん》は、辛《ようや》く一方の血路を、斫《き》り開いて、信州路へ落ちて行った。
夜中に利根川《とねがわ》を渡った。渋川の橋は、捕方が固めていたので、一里ばかり下流を渡った。水勢が烈《はげ》しいため、両岸に綱を引いて渡ったが、それでも乾児の一人は、つい手を離したため流されてしまった。
渋川から、伊香保《いかほ》街道に添うて、道もない裏山を、榛名《はるな》に
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