りがたしと見て、必死だった。
 新子は、もうどうにも出来ない羽目に、追い込まれたので、身を棄てて、夫人の罵倒《ばとう》に甘んじようとした矢先、思いがけない美和子の颯爽《さっそう》たる助太刀を、頼もしくは思いながら、これ以上事を荒立てると、どんなことになるかもしれないので、
「美和ちゃん!」と、低くたしなめた。すると、美和子は、紅潮した頬を向け、
「お姉さんが、煮え切らないからいけないのよ。だから、愚図愚図いわれるのよ。」と、姉触るれば姉を斬る勢い。

        六

(愚図愚図いわれるのよ)という美和子の言葉に、夫人はギョッとして、
「愚図愚図いうとは何ですか。生意気だわ貴女は。何だって、私をそんなに侮辱するのですか。」と、今度は自分の方が、被害者でもあるかのような夫人の口調である。
 美和子は、相変らず、物に動じない円《つぶら》な瞳をジッと、見はって、
「だって、そうなんですもの。前川さんは、穏便主義でお姉さんは、志操堅固なんですもの。愚図愚図いわれることなんかちっともないわ。お姉さんは、処女ですわ。わたし、処女であることを信じているわ。奥さんに、苛められることなんかちっともな
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