、しばし呆気に取られて、美和子の顔を、まんじりともせず眺めていたが、その洒々《しゃしゃ》とした容子に、また腹が立って来て、
「まあ、なんて恥知らずの人が揃っているんでしょう。私が、ここへ来て何が悪いんです。私の家庭を破壊しようとする者があれば、その人を面詰するのは、私の権利ですもの。」
今は、皮肉な冷静な調子はなく呼吸もややせわしく取り乱して来た。
「だって、そりゃお姉さんを責めるよりか、前川さんをお責めになる方が、先だわ。」と、美和子は、さり気なく首を振った。
「だって、新子さんは、一度私に使われた人じゃありませんか、その人が、私の家にいる間に、主人と怪しい関係をむすんで、私の家を出ると、コソコソと店を出させたことを、私がだまって放っておけますか、貴方のような子供には、夫婦間の問題なんて、分らないことですわ。下へ降りていて、頂戴!」
夫人は、憤《いきどお》りに煽られて、権柄ずくに、そう云った。
「いやですわ。私が、案内して来た人が、お姉さんを侮辱するのを、だまって見ていられないわ。」美和子は、決然として屈しない。
「私だって、故ない侮辱は致しませんよ。」と、夫人も今は、この小娘侮
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