ケロリとして、
「あら、それは、奥様のひどい考え違いですわ。お姉さまなんか品行方正よ、ちゃんとしているわ。」
「品行方正で、こんなに前川の世話になっているんですか、前川と何でもなくて、こんなにまで前川の世話になれますか。」
「あら、お姉さんは、前川さんの何でもないわ、ただ、前川さんがお姉さんを、トテも好きなだけだわ。」
 それは、まさに夫人の自尊心を、真向に割りつけた返事である。
 たとい、良人と新子との間に、関係があったにしたところで、それを良人の気まぐれ、乃至《ないし》は過失として片づけたい夫人には、良人が新子を愛していると云われたことは、堪えられないことだったので、思わずカッとなって、
「汚わしいことですわ、良人に限って、他の女性を愛しているなんてこと、絶対に信じられませんわ。」と、大見得を切ったが、美和子は、それを事ともせず、
「だから、奥さまは何にもご存じないんだわ。ご存じなければ、ご存じないで、その方が幸福なんだわ。知らなければ、知らないで済んでしまうんですもの。わざわざこんな所を探して、いらっしゃることはないわ。」
 あまりの暴言に、夫人は正面からピシャリと叩かれた思いで
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