、アッサリ片づけようとすると、
「いいえ。いやですわ。お姉さまを苛められて、私だまっては、いられないわ。」
小さい身体が、まるで反抗の塊のように、飛びかかって来そうである。
「まあ! 私いじめてなんかいませんよ。」
「いいえ。いじめていらっしゃるんですわ。きっと、お姉さまに、いろいろな疑いをかけて!」
夫人は、少し本気になり、
「だって、そりゃ疑わしいことを、いろいろするんですもの。」と、いった。
「疑わしいことって、何ですの。」
「貴女のような、小イちゃい人には、話せないことだわ。」
「それなら、分っていますわ。お姉さまと、前川さんとの間を、疑っていらっしゃるんでしょう。」
「おませ[#「おませ」に傍点]ね、貴女は……」
夫人は、眉をひそめながら、いまいましそうに、
「それなら、貴女にもいってあげるわ。どうせ貴女も圭子さんも、新子さんの縁で、前川の世話になっているんでしょう。そういうことを、貴女は自分で可笑《おか》しいと思わないんですか。前川と新子さんとが、普通の関係で、貴女方|妹姉《きょうだい》までの面倒が見られますか。」と、夫人は手きびしくやっつけたつもりでいると、美和子は
前へ
次へ
全429ページ中406ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
菊池 寛 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング