いとおっしゃるのなら、それを信じたいわ。貴女も、信じてもらいたいでしょう。でも、貴女が潔白を証拠立てるのには、この店から、今晩にでも出て行って頂くのが一番よくないかしら。貴女が一介の雇人だとおっしゃるのなら雇人だということを、私の前で見せて頂きたいの。ねえ、南條さん! 私の申し上げることが、無理かしら。」
まず名分論で、新子をさんざん痛めつけた上、今度は実際論で、新子を窮境に追い込もうという作戦であった。
新子としても、かほどまでに悪辣な夫人に対しては、教養も外聞もかなぐり捨てて、滅茶苦茶な論戦を開くか、でなかったら、夫人の面前で前川との関係を、きれいに清算して(お騒がせしてすみません)とアッサリ引き下るか、二つに一つを出《い》でないのであり、しかも今更、夫人と、いぎたなく口争いする勇気もない以上、今はサラサラと引き下る外ないのであるが、しかし、ただこのままに出て行くのは、何と云っても口惜しく、敵《かな》わぬまでも、何かしら云ってみたく、
「でも、私前川さんから、このお店を、お預りしているんですから、前川さんから、お話がない以上は……」と、云いかけると、夫人は軽く引き取って、
「そ
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