ぎりで会う時は、部屋の扉《ドア》を開けておくと云う、日本は、それほどでないにしても、ベッドの在る部屋で会っていれば、どんな疑いをかけられても仕方のない道理なので、急所を衝いて来る夫人の言葉に、新子はまた一太刀斬りつけられた思いで、
「でも何にも……」といったまま、後の句が継げないでいると、夫人は緩急自在、やや鋭鋒を収めた形で、
「まあ、いいわ。今までのことは、どうだっていいわ。よしんば、貴女と主人との間に、何かあったにしろ、どうせ主人の気紛れか過失だったと思いますわ。主人が、貴女のような人を本気に愛しているなんて、考えられないんですもの。だから、今までのことは深く咎《とが》めないわ。ただ、これから、先のこと私の心配しているような醜聞《スキャンダル》が、世間に広がらないように貴女にも考えて頂きたいのよ。そのために、私恥を忍んでここへ来たんですから、貴女だって、いずれはお嫁にいらっしゃる身体でしょう、今下らない噂なんか立てられたら、一生の恥じゃありません?」
そう云われれば、そのとおりには違いない。しかし、新子は素直に、肯《き》く気にはならなかった。
「だから、私、貴女が主人と、何でもな
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