は違うじゃございませんか。」
「もちろん違うし、たとい前川さんが、貴女の後援をしているにしても、僕は変な風には、考えませんよ。前川氏は、紳士だし、たいへんな女性尊重主義者《フェミニスト》だし……そりゃ清らかなものだと思っていますよ。しかし、それだけに、貴女が、いつかは前川氏をこの一筋と考え込んでしまいそうだな。そこに危険がある!」
新子は、ひしと云い当てられながらも、躍起になって、
「まあ、そんなに想像を逞しくなさるもんじゃ、ございませんわ。まるで、私が前川さんのお世話にでもなっているように……」
「いや、そう思うのは、僕だけではありませんよ。」
木賀の言葉は、なお朗かであったが、新子はズシンと、胸を衝《つ》かれた。やはり、木賀が前川夫人のスパイであるような気持がして来た。
七
新子は、急に真面目になった。
「もし、そんな誤解をしていらっしゃる方がございましたら、貴君がよろしく、弁解しておいて頂きたいわ。」
「そりゃ、頼まれなくってもやりますよ。しかし、前川さんがこの店へ時々来るとすると、そう誤解される危険は、充分あるですな……。それに、あの爆弾夫人は……」
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