、この店の顧問は、一体誰ですか。」と、木賀は悪意は、なさそうであったが、少しニヤニヤ笑いながら、訊いた。
「さあ、誰でしょうか。」新子は、苦笑しながら、ごまかした。
「案外、前川さんあたりじゃないかな。あの先生、あれでなかなかの洋酒通だからなあ。どうです、当りませんか。」
「存じません。」新子は、打ち消すだけの勇気はなかった。
「僕、もう貴女は結婚してしまわれたのではないかと思った。軽井沢で、この一筋と思うような人でなければならんというような気焔《きえん》だったが、まだ見つからないんですか。この一筋が見つからんので、ちょっと道草ですか。」
「さあ……」
「案外、見つかっているのですか。」
「ご想像に委せますわ。」
「こりゃ、いかん、南條さんも、人が悪くなりましたな。じゃ、見つかっているものと考えていいですか。」
「おほほほ……」
「案外、前川さんあたりじゃありませんか。」
 新子は赤くなって、
「あら、違いますわ。そんな風に思って下さっては困りますわ。」
「じゃ、前川さんはこの店には来ないんですか。」と、木賀は笑いながらも、鋭かった。
「そりゃ、時々いらっしゃいます。でも、それとこれと
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