こんな水商売を始めてみると、新子もいつの間にか、御幣《ごへい》かつぎになっていた。自分が六白星だから、七赤、八白、二黒《じこく》の日は吉で九紫、三碧、四緑《しろく》の日は凶であるなどと、朝刊の九星を気にしたり、カードのペーシェンスが、一度でパッと揃えば、吉。そろっても、スペードからでは凶、揃わないときは大凶などと、独りでその日の客足を占ってみる習慣が、ついていた。
 トランプは、幸先よく揃いそうであったが、中途でつまって、結局うまく行かなかった。
 もう一度と、思い切り悪く、カードをまぜていると、
「いらっしゃいまし――」と、いうよし子の挨拶を聞いて、新子は何と云うことなしに、立ち上って、衝立《スクリーン》の陰にちょっと身を隠して、客の方を見た。
 客は、たった一人でてれくさそうに、部屋の中を見廻して、なかなか席に着こうとはしない。
「君達二人ぎり?」と、少女達に、話しかけるその声で、新子はハッとなった。軽井沢で、前川夫人の遊び友達として、知り合った木賀子爵ではないか。客が、もう一足進めば、すぐ顔を見られる衝立の陰なので、新子は急に悪寒《おかん》が、胸に上って来た。
「落着いたい
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