。」と、さも可笑《おか》しそうに笑い出した。
「お姉さんが、もう少し家のことをかまって下さったら、私酒場なんかに出はしませんよ。」と、新子はつづけて怒鳴った。
「悪かったわねえ。でも、私は劇のほか、何にも分らないの。ご免なさい!」
 そう云うと、姉は新子の鋭鋒を避けるように、トントン二階へ逃げ上った。

        四

 姉と争った後味の悪い気持で、お店へ来ると、女給の一人の妙子という、チンマリと可愛い顔の少女が、豊かな黒髪を、プツリと切って、すっかり見違えるような後姿《うしろすがた》で、水盤の水を入れかえているので、新子は驚いて、
「まあ。勿体ない」と、眼を刮《みは》って近づくと、すっかり化粧も変えた顔で、
「だって、この方が便利なんですもの。」と、羞《はに》かみながらいった。
「似合うからいいわ。」
 なかなか、女学生らしい溌剌《はつらつ》たる味わいが出て、よく似合っていた。
 そんなことで、新子の気もまぎれ、部屋へちょっと上るとすぐ階下《した》へ降りて来て、少女達と話をした後、よし子のトランプを借りて、一人隅の方の卓子《テーブル》で、ペーシェンスで、その日の運勢を占い始めた
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