え。」新子は、自分も慰められたいような気持で、姉にやさしくいった。
「うん。昨夜は、ほかの人の都合で十時から稽古だったの。切符は売らなきゃならないし、たいへんよ。」姉は、新子の気持などお構いなしに、自分のことだけを云って、
「美和子居ないかしら。」と、訊ねた。
「知らない……ちょっと、出かけたんじゃない。」
「煙草が欲しいんだけど……」
「婆やに、買いにやらせば、いいじゃないの……」と、新子が云うと、煙草のことは、それぎりにして、
「美和子、もう酒場のお手伝いはしないんだって……」と、訊いた。
「もう、そんなことお姉さんに云ったの?」昨夜のいさかいを、早くも姉に告げたのかと思うと、新子は美和子の口の軽さに、腹が立って来た。
「昨夜、私が帰ったら、まだあの子寝てないで、階下《した》でガヤガヤ云っていたの……」
「そうお、ちっとも知らなかったわ。」
「私、美和子から、貴女《あなた》の酒場のこと、いろいろ訊いたわ、美和子のところへ来るお客も、随分あるんだってねえ。」
「………」新子は、不愉快になって、だまっていた。
「それに、新子ちゃん。貴女、少し嘘つきねえ。」
「なぜ……」
「前川さんの関
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