てご異存はないんでしょう……」
「およしなさい!」前川は、つい苛々《いらいら》して来て、いつになく険しい声を出した。
「まあ! そんなにまで、反対していらっしゃるの。ああ分ったわ。じゃ新子さんが来ると、貴君の方で何かお差支えがおありになるの?」
「そんなものが、あるわけはないじゃないか。」前川は、あわてて打ち消した。
 夫人は、先刻から前川のあらゆる表情動作を、すっかり読み取って、まず今宵はこれでいい、あまりしつこく責めると、かえって前川に警戒されるに違いないと思ったので、口まで出かかった小切手帳の問題は、そのままにして、
「そう。じゃ、私もう一度考え直してみるわ。でも、新子さんという人、後で考えるとだんだんよくなるわ。」前川には、全く謎の言葉を残して、アッサリ部屋を出て行った。
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  敵か味方か




        一

 今まで、家中《うちじゅう》で婆やの次に、起きていた新子が、夜更《よふか》し続きで、つい寝坊になり、この頃では十一時過ぎまで、寝てしまっても、なお頭の重い感じである。
 女らしい始末の悪い母親と、だらしのない圭子と美和子と、それに肝心の新子までが
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