だ色っぽさのある新子の全体を、ハッキリと思い浮べながら、そういった。
「貴君、酒場《バー》へよく行くらしいから、知ってるかと思った……案外逸郎さんあたりが、どこかへ紹介したのじゃないかと思ったわ。」
「ご冗談でしょう。僕は、夢にも知らなかった!」
「じゃ、貴君、あの人が、どこにいるか、探してご覧になったら、どう?」
「探して、どうするんです。また家庭教師になさろうとするんですか。」
「いやな人! だって、男の人って、知っている女が、バーへなんか出ると、とても興味を持つんじゃない? だから、貴君も、かの女に会って、かの女の変り方を見るのも面白いんじゃないかと思って……」
「うむ。」
 木賀も、一目見たときから、好ましさで一杯だった人だけに、夫人に唆《そそのか》されると、興味を感じずにはいられなかった。その人の立ち働いているバーの容子などを、想像しながら、
「誰からお聞きになりました? 前川さんから?」と、訊ねた。夫人は、あわてて首を振って、
「いいえ、前川から、聞きはしないのよ、また私があの女が、銀座にいることを知っているなぞと、貴君前川にはいわないで頂戴ね。いったら絶交よ。」と、いった
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