、初演のときは、割合好評でございましたの。」と、たわいなく得意になるのを見すまし、
「それで、新子さんも、その方面のお手伝いでもして、いらっしゃるの?」と、さりげなく訊ねた。
人生行路、決して左右を見ない、左右どころか、自分がこう思ったら、道のない所までも、ズンズン歩いて行きそうな、漫画的にまで、真っ正直な圭子も、ここでさすがに、ちょっと思案するのであった。
妹が、バーに出ることなど、圭子は大反対なので、そのことについて、新子とは話も一切せず、何事も訊いてもみないが、しかし母や美和子から、間接に聴いたところによると、新子は前川氏が関係しているらしい酒場の、カウンターをやっているとのことである。
それを、夫人が何も知らないのは、可笑《おか》しい。
云ってよいか、どうか、ちょっと思案したが、しかし、こんなに親切な夫人に、物事をかくすのは、いやだったし、もしいったことで、新子が迷惑をするとすれば、それは新子が何か、後暗《うしろぐら》いことをしているからで、新子自身が悪いのであるという風《ふう》に考えた。
「それとも新子さんは、何もしていらっしゃいませんの?」と、やさしくもう一度訊かれ
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