ると、圭子は、たちまち、夫人に同情して、
「妹のことを、悪く云うのは、おかしいですけど、それがあの人の欠点なのですの。ちょっと、誇学的《ペダンチック》で、融通のきかないところが。まあそんなことで、奥様に楯ついたりなんかして、ほんとうに相すみませんわ。ほんとうにそんなことで……」
「いいえ。私も、そんなことに拘泥《こだわ》るのでなかったんですの。私さえ黙っていれば、何でもなかったのに、ついあんなことになって、ほんとうに、お気の毒なことになって……」と、夫人はいよいよ図に乗って、慈愛ぶかさの限りを見せた。
「ご存じでしょうかしら、私が、劇の公演のことで、どうしても、お金が入用になりましたので、新子に無心しましたところ、新子が前川さんにお願いして、お金を出して頂きましたので、やっと公演の始末が出来ましたの。」
「それは、まだ新子さんが軽井沢にいらしった時の、ことなんですの。」夫人は、肝心な点だけは、ちゃんと釘を打っておくのだった。
「はあ、左様でございます。そんなご恩になっていますのに、いきなり帰って参りましたので、家でもみんな、びっくりしてしまいましたの。ほんとうに、奥様のお心持が分ったら
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