んには、随分お世話になっておりますの。九月の公演にも、切符を沢山引き受けて頂きましたの……」
姉を、そんなに後援するのは、妹と何かある! 夫人の心には、もう嫉妬の焔《ほのお》が、えんえんと燃えながらも、言葉だけは、いよいよ丁寧に、
「そうですか。それは、ちっとも知りませんでした。私も、劇の方は、嫌いじゃないのですの。前川から、何も話がありませんでしたから、ちっとも存じませんでしたの。でも、劇のお話でしたら、私も、出来るだけのことを、致しますわ。今、主人は、いませんけれどいらっしゃいませんか。」
姉を引き寄せて、目ざす妹の消息を知ろうという夫人は、にわかに友達のような親しい物云いをした。
三
学問はあっても、人の好い圭子は、たちまち嬉しそうに、
「ありがとうございます。明日でも、ご都合がよければ、伺わせて頂きますわ。」と、云うのを、
「これから、すぐでもいいわ。その代り、すぐいらっしゃいませね。」と、夫人はさり気なく誘った。
「でも、夜分でございますから……」
「こっちは、少しも構いませんわ。どうぞ……その代り、なるべく三十分以内にね。」
「じゃ、うかがわせて、
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