ていると、
「お姉さまア!」と、呼びかけながら、たちまち階段を上って来る騒々しい足音がした。その足音を聞いている内に、新子の胸の中には、自分でも思いがけないほどの激しい憤《いきどお》りを、妹に対して初めて感じた。
「お姉様!」扉《ドア》の外で、もう一度呼んだ。
「何をして、いらっしゃるの?」と、云いながら、美和子が姿を現した。新子は、なお顔をそむけたままで黙っていた。
「前川さんも、さっきから見えているのよ。知っていらっしゃるんでしょう。皆さん、お待ちかねだわ。」美和子が、口を利けばきくほど、それだけ鬱然と新子は、この妹が憎くなった。
 努めて、静かに、しかし冷やかに、
「貴女、お家へ帰ってくれたらどう――もう、ここへ来てほしくないのよ。私は……」といった。
 美和子も、さすがに、姉の厳しい様子に、ちょっと目を迯《そ》らすようにして、真面目な表情をしたが、すぐに不貞腐《ふてくさ》れて、白々しく、
「へえ――。美沢さんとの喧嘩の、飛ばっちりが、わたしに来るの? 迷惑だわ。」と、いった。
 新子は、自分が男だったら、何か手ひどい一言をいって、部屋の外へ突き出したい衝動を感じた。
「お姉様が
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