をまけば》山色《さんしょく》|悩[#二]吟身[#一]《ぎんしんをなやます》
孱願亦《せんがんまた》|有[#二]娥眉趣[#一]《がびのおもむきあり》
一笑靄然《いっしょうあいぜん》|如[#二]美人[#一]《びじんのごとし》
[#ここで字下げ終わり]
 歌に、
[#天から3字下げ]さみだれに庭のやり水瀬を深み浅茅《あさじ》がすゑは波よするなり
[#天から3字下げ]立ち並ぶかひこそなけれ桜花《さくらばな》松に千歳《ちとせ》の色はならはで
 詩の巧拙は自分には分らないが、歌は武将としては上乗の部であろう。
 又|経書《けいしょ》兵書に通じ、『孫子』を愛読して、その軍旗に『孫子』軍争編の妙語「|疾如[#レ]風《はやきことかぜのごとく》|徐如[#レ]林《しずかなることはやしのごとし》|侵略如[#レ]火《しんりゃくすることひのごとく》|不[#レ]動如[#レ]山《うごかざることやまのごとし》」を二行に書かせて、川中島戦役後は、大将旗として牙営《がえい》に翻していた。その外、諏訪明神を信仰し、「諏訪|南宮《なんぐう》上下大明神」と一行に大書した旗も用いていた。
 上杉謙信は、元、長尾氏で平氏である。元来
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