が鳴つた。
 烈しい興奮のために、頭脳《あたま》も眼も、疲れ切つてゐながら、それが妙にいら/\して、眠は何《ど》うしても来なかつた。
 その裡に、到頭三時が鳴つた。
 遉《さすが》に、彼女の意識は疲れてしまつた。不快な、重くるしい眠が、彼女のぐた/\になつた頭脳を蝕み始めてゐた。現《うつゝ》ともなく夢ともないやうな、いやな半睡半醒の状態が、暫らく続いた。彼女はとろとろとしたかと思ふと、ハツと気が付いたり、気が付いたかと思ふと、深い泥沼の中に、引きずり込まれるやうに、いやな眠りの中に、陥つて行つたりした。
 彼女が、砂を噛むやうな現《うつゝ》と、胸ぐるしい悪夢との間に、さまよつてゐたときだつた。彼女は、何者かが自分を襲つて来るやうな、無気味な感じがした。寝室の扉《ドア》が、かすかに動いてゐるやうな感じがした。自分に襲ひかゝつてゐる人の足音を聴くやうな気がした。が、それが夢であるか現《うつゝ》であるか確める気にもなれないほど、彼女の意識は混沌としてゐた。
 到頭、悪夢が、彼女を囚へてしまつた。彼女は母と一緒に田舎路を歩いてゐた。それが、死んだ母のやうでもあり、現在の母であるやうにも思はれた
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