帰つたやうに、二人はいつまでも/\泣いてゐた。
 が、先に涙を拭つたのは、美奈子だつた。
「お母様! 貴女は、決して妾《わたくし》にお詫をなさるには、当りませんわ。本当に悪いのは、お母様ではありません。妾《わたくし》の父です。お母様の初恋を蹂躙した父の罪が、妾《わたくし》に報いて来たのです。父の犯した罪が子の妾《わたくし》に報いて来たのです。お母様の故《せゐ》では決してありませんわ。」さう云ひながら、美奈子はしく/\と泣きつゞけてゐたが、「が、妾《わたくし》今晩、お母様の妾《わたくし》に対するお心を知つてつくづく思つたのです。お母様さへ、それほど妾《わたくし》を愛して下されば、世の中の凡ての人を失つても妾《わたくし》は淋しくありませんわ。」
 さう云ひながら、美奈子は母に対する本当の愛で燃えながら、母の傍にすり寄つた。瑠璃子は、彼女の柔かいふつくりとした撫肩を、白い手で抱きながら云つた。
「本当にさう思つて下さるの。美奈さん! 妾《わたし》もさうなのよ。美奈さんさへ、妾《わたし》を愛して下されば、世の中の凡ての人を敵にしても、妾《わたし》は寂しくないのです。」
 二人は浄い愛の火に焼か
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