言つたやうな、おせつかいなことを言つたものですから、妾《わたし》はつい反抗的に、意地であの方を箱根へ連れて来たくなつたのです。外《よそ》ながら、そのおせつかいな人に思ひ知らせて、やりたくなつたのです。美奈子さん、それが妾《わたし》の性分なのです。今までの妾《わたし》の生活、貴女のお家へ来たことなども、みんな妾《わたし》のさう云つた性分が、妾《わたし》を動かしたのです。」
母は何時になく、しんみりとした沈んだ調子になつてゐた。短い沈黙の後で、母は再び口を開いた。
「それは、自分でも何うともすることが出来ない性分です。誰かから抑へられると、その二倍も三倍もの烈しさで、跳《はね》返したいやうな気になるのです。それが、妾《わたし》の性格の致命的《フェータル》な欠陥かも知れません。妾《わたし》は自分のさうした性分のために、自分の一生を犠牲にしたのではないかとさへ、此頃考へてゐるのです。」
母は、かう言つて悵然《ちやうぜん》[#ルビの「ちやうぜん」は底本では「ちやうだん」]としたが、また直ぐ言葉を続けた。
「子供が、触つてはいけないと言はれた草花に、却つて触りたくなるやうな心持で、青木さんを、
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