をでも掴むやうに、青年はもう夢中だつた。
「さうです。奥さん! もし貴女《あなた》が、あの晩の話のお返事をして下さるのなら、失礼ですが、美奈子さんに、一寸失礼させていたゞきたいのです。あれは、僕の私事です。あのお返事なら、僕一人の時に承はりたいのです。」
 興奮した青年に、水を浴せるやうに、瑠璃子は云つた。
「いゝえ! 妾《わたし》、美奈さんにも、是非とも聴いていたゞきたいのですわ。一昨夜も、あんなお話なら美奈さんに立ち合つていたゞきたいと思つたのです。あんなお話は、二人切りで、すべきものではないと思ひますもの。たゞさへ、妾《わたし》色々な風評の的になつて、困つてゐるのですもの。あゝいふお話はなるべく陰翳の残らないやうに、ハツキリと片を付けて置きたいと思ひますの。ねえ、美奈さん、貴女このお話の、証人《ウイットネス》になつて下さるでせうねえ。」
「あ! 奥さん! 貴女《あなた》は! 貴女は!」
 青年は、狂したやうに叫びながら立ち上ると、続けざまに、地を踏み鳴らした。

        四

 青年が、狂気したやうに、叫び出したのにも拘はらず、瑠璃子は、冷然として、語りつゞけた。
「美奈
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